金相場や株価が上がる月は、金・貴金属の買取の検索も増えるのか。2020〜2025年の6年間を、値そのものではなく、先月からどれだけ上がったか下がったかどうしを並べる「月ごとの増減で比べる」方法で確かめました。
どちらも、先月からどれだけ上がったか下がったかを同じ月どうしで比べています。そろった動きは読めますが、どちらが原因かは分かりません。
「近い動き」「ほぼ関連なし」は、一緒に動く度合いの大きさを言葉にしたものです。
月ごとの増減で見ると、買取の検索と近い動きをしていたのは金相場で、株価とはほぼ関連がありませんでした。
6年間そろって伸びた2本の線は、値のままだと似て見える
この6年は、金相場も株価もそろって伸びました。金相場は1グラム5,524円から21,716円へ、日経平均は23,643円から50,162円へ上がっています。同じ時期に上がる2本の線は、中身が別々でも似た形になります。
色付きの線が金相場(円/g)、灰色の線が日経平均(円)で、目盛りが別なので線の高さは見比べられません。見るのは、どちらも右上へ伸びている形です。
2本とも右上へ伸びる同じ形で、値のまま並べると強く一緒に動いて見えます。
月ごとの増減で比べると、金相場と株価のつながりは弱くなる
金相場と日経平均を、月ごとの増減どうしで比べると、一緒に動く度合いは弱くなりました。先月から動いた幅を並べるので、6年間の伸びは外れ、月ごとの動きがそろっているかだけが残ります。
点の1つが1か月分で、横が金相場、縦が日経平均の、先月から動いた幅です。右上がりのまとまりがはっきりしているほど一緒に動いていて、強弱の判定は末尾の「データについて」の数値によります。
この図では右上がりのまとまりが弱く、金相場と日経平均が一緒に動く度合いは弱いと読めます。
月ごとの増減で比べても残るのは金相場で、株価とのつながりはほぼ消える
金・貴金属の買取の検索の多さを月ごとの増減で比べると、一緒に動く形が残ったのは金相場だけでした。値のままでは、金相場も株価も、検索の多さと強く一緒に動いて見えます。検索の多さは Google トレンドで見た目安です。
| 観点 | 金相場と買取の検索 | 株価と買取の検索 |
|---|---|---|
| 値のまま並べる | 強く一緒に動く | 強く一緒に動く |
| 月ごとの増減で比べる | 同じ月に近い動き | ほぼ関連なし |
| 判定 | ○ ほぼ本当 | ✕ 確認できず |
買取の検索と同じ月に近い動きをしていたのは金相場です。 株価とは、月ごとの増減で比べるとつながりがほぼ見られず、値のまま並べたときの強いつながりは、どちらも6年間伸び続けたことで生まれた見かけと考えられます。数字の見方は末尾の「データについて」にあります。
まとめ
2020〜2025年の6年間は、金相場も株価も、金・貴金属の買取の検索の多さも、そろって伸びました。そのため値のまま並べると、どの組も強く一緒に動いて見えます。月ごとの増減で比べると、金相場の組は同じ月に近い動きのまま残り、株価の組はほぼ関連がなくなりました。言えるのは同じ月に同じ向きに動いたことまでで、どちらが原因かは分かりません。この6年は金相場がほぼ上がり続けた期間で、金相場が下がる時期にも同じ関係が出るかは、このデータの外にあります。
データについて(出典・計算方法・注意)
データ
- 対象期間は2020年1月から2025年12月までの72か月(月次)です。動いた幅は前月差なので、最初の月には「先月」が無く、71か月になります。図3 の点が71個なのはこのためです。
- 金相場は、田中貴金属工業の月次金価格推移(参考小売価格・税抜、円/g)の月平均です。
- 日経平均は、Yahoo Finance の
^N225日次終値を月平均にしたものです。 - 買取の目安は、Google トレンド(Google で何がどれだけ調べられているかを見られる無料の道具)の週次相対検索インタレスト(2019-12-29〜2025-12-28、314週、日本)です。金・貴金属の買取関連キーワードの合算で、値は期間内でいちばん多い週を100とした目盛り(相対指数)です。数えているのは検索の相対的な多さで、人数や回数でも、問い合わせ・来店・成約の件数でもありません。目盛りの読み方は、別の記事「Google トレンドの数字は、検索の回数ではなく『検索全体に占める割合』をもとにした目安」にあります。
- 金相場と買取の検索の数値は、「金相場が上がると買取関連の検索が増える」という説を確かめた分析から取っています。
- 図2・図3 は、金相場と日経平均の月平均と、それぞれの前月差から描いています。期間は 2020-01 から 2025-12 までです。
- 本文に挙げた値は、この月平均の実測値です。
2020-01が金相場 5,524.0 円/g・日経平均 23,642.92 円、2025-12が金相場 21,716.0 円/g・日経平均 50,162.42 円で、本文では日経平均を円未満で丸めています。
相関の出し方
本文の「一緒に動く度合い」は、動く向きと時期のそろい方を見る数で、金相場が2倍なら検索も2倍という量の関係は表しません。「一緒に動く度合い」と、その「強い」「弱い」「ほぼゼロ」という言い方は、相関(相関係数)の大きさを言い換えたものです。値のまま並べて出したものを水準相関、前月差どうしで出したものを変化相関と呼んでいます。同じ時期に両方が伸びただけで水準相関が高く出ることを、見せかけの相関と呼びます。
相関は −1 から +1 の数で、+1 に近いほど同じ向きに、−1 に近いほど逆向きに動き、0 に近いほどそろった動きがありません。表計算ソフトの関数ひとつ(CORREL など)で出せます。値のままで比べるときは2つの列をそのまま渡し、動いた幅で比べるときは、それぞれの列で今月の値から先月の値を引いた列を作ってから渡します。
「どちらが先か」をずらして測る(ラグ)
一緒に動いていたと分かると、次に知りたくなるのは順番です。片方の数字を1か月分、2か月分とずらしてから相関を取り直し、どのずらし方でいちばん強く出るかを見ます。これをラグと呼びます。
私たちは、相場のほうが先に動いている場合と同時の場合に限って、説を支持する根拠として数えています。検索のほうが先に動いている側に出た数字は、「相場を見て売りに来た」とは順番が逆なので、別の信号として扱います。
順番が分かっても、両方を同時に押し上げる出来事(大きなニュースなど)があれば、この方法では取り除けません。私たちが検証した通説のいくつかでは、検索が先行する側にも無視できない相関が残り、どちらが先かは決められませんでした。
判定の規則(全文)
この分析で使っている相関の取り方は、次のとおり固定しています。記事ごとに基準を変えないためです。
- 相関はピアソンの積率相関係数を使います。
- 水準相関は原系列そのままの相関です。
- 変化相関は、月次は前月差、週次は窓のそろった4週移動平均をとってから4週差をとった系列どうしの相関です。窓が欠ける週は除外するため、週次の変化系列は n=307 になります。
- ラグは
r(k) = corr(検索[t], 相手[t+k])で計算します。検索の系列に対して相手の系列を k 期間分ずらして重ね、その状態で相関を取る、という意味です。k>0 が検索の先行です。 - 説を支持するかどうかは k≦0(相手が先行、または同時)のラグに限って判定します。k>0 側に出た相関は「検索が先行する信号」として区別して扱い、支持の根拠には数えません。
- 相関には、分かる範囲で実効 n(そのラグで実際に計算に使えた月数・週数)を併記します。ずらすほど重なる期間が短くなるため、n も減ります。
- しきい値は 0.45 以上で○、0.25 以上で△、それ未満は✕です。本文では、0.45 以上を「強い」、0.25 以上 0.45 未満を「弱い」と言い換えています。
0.45 と 0.25 の線は、記事や資料の中で説明をそろえるために私たちが便宜的に引いた区分です。統計の世界や業界で決まった数値とは別のもので、0.45 に近い値は○と△の境目あたりとして読んでください。
本文で挙げた数値
| 比べたもの | 比べ方 | 相関 |
|---|---|---|
| 金相場 × 金・貴金属の検索 | 水準 | 0.824(n=72) |
| 金相場 × 金・貴金属の検索 | 変化(前月差・同月) | 0.50(n=71) |
| 日経平均 × 金・貴金属の検索 | 水準 | 0.76(n=72) |
| 日経平均 × 金・貴金属の検索 | 変化(前月差・同月) | 0.02(n=71) |
| 金相場 × 日経平均 | 水準 | 0.92(n=72) |
| 金相場 × 日経平均 | 変化(前月差) | 0.31(n=71) |
金相場 × 金・貴金属の検索の2行は、判定が○(ほぼ本当)です。0.50 は k≦0 のラグの中でいちばん強く出た同月の値です。
日経平均 × 金・貴金属の検索の変化の行は、図1と同じ月次・同じ月の値です。金相場 × 日経平均は、丸める前の値が水準 r=0.919(n=72)、前月差 r=0.312(n=71)で、本文では小数第2位に丸めています。図1の「近い動き」は金相場の組の 0.50、「ほぼ関連なし」は日経平均の組の 0.02 を言葉にしたものです。
注意
- しきい値区分は便宜的なものです。複数の通説を同じものさしで並べるために決めた線で、線を動かせば判定も動きます。
- 金相場と買取の検索は、検索が1か月先に動く側にも r=0.45(n=70)の相関が残っています。同じ月に同じ向きに動いたことは言えても、金相場が先に動いて検索を呼んだとまでは言えません。
- ✕は、この方法・この期間・この探索範囲で、想定した向きのつながりが見つからなかったという判定です。
- 相関が測るのは同じ時期に一緒に動いたかどうかで、どちらがどちらを動かしたかは測りません。ラグで順序を調べても、両方を同時に動かす別の要因は残ります。
- 動いた幅で比べても、同じ月に両方を動かす出来事があれば高い数字が出ます。動いた幅にそろえるのは、同じ時期に伸びただけの高さを落とすための手順です。
- 検索はお客さんの関心の目安です。価格を確かめるだけの検索や投資目的の検索も含まれます。Google トレンドの値は相対指数なので、系列をまたいだ量の比較には使えません。サンプリング由来のぶれもあるため、数字は取得日とセットで扱ってください。
- 6年は1サイクル分です。金相場はこの期間ほぼ一貫して上昇しており、本格的な下落局面を含んでいません。下落局面で同じ関係が出るかは、この期間のデータの外にあります。
- この記事の比較は2020〜2025年で、Google トレンドの2022年1月の段差をまたいでいます。全国の「買取」は2022年1月の初めの週に前の週から段差のように上がっていて、2022年1月1日に Google トレンドのデータの集め方が変わったという指摘があります。金・貴金属の買取の目安への影響の大きさは、この記事では確かめていません。
- 月次の前月差で見ているため、同じ月の中でどちらが先に動いたかは分かりません。そこを詰めるには自社の問い合わせデータとの突き合わせが要ります。
出典・取得日
- 田中貴金属工業「金価格推移」月次データ(参考小売価格・税抜)/取得日:2026-09-12
- Yahoo Finance
^N225日次終値/取得日:2026-09-12 - データソース: Google トレンド(日本、2019-12-29〜2025-12-28、週次314週)/取得日:2026-09-11
- 作成:株式会社チャイルドバンク データラボ
運営:株式会社チャイルドバンク
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